生成AIパスポートとは?難易度・勉強方法・取得する4つのメリットを解説


「生成AIパスポートとは何?」
「試験の難易度や合格率はどれくらい?」
「取得するとどんなメリットがあるの?」
AI(人工知能)の技術が進歩する中で、ビジネスシーンでの活用も急速に拡大しています。
しかし、AIの利用には倫理的・法的リスクもともなうため、企業にとっては適切な知識を持つ人材の確保が不可欠です。
そこで注目を集めているのが「生成AIパスポート」です。
生成AIの基礎知識やリテラシーを証明できる資格であり、取得することで、昇進や転職に役立つ可能性があります。
本記事では、生成AIパスポートの概要や難易度、合格に向けた勉強方法などを詳しく解説します。AI人材としてキャリアの幅を広げたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
生成AIパスポートとは?
生成AIパスポートとは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が主催する「AIの活用リスクを予防する資格試験」です。
AI初心者のために誕生した資格試験で、主に以下の内容を学べます。
- AIを利用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例
- 企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護・著作権・商用利用などの注意点
資格を取得することで、生成AIを安全に活用するためのリテラシーが身につきます。
大手企業や教育機関、自治体など、多くの従業員が受験しており、中には、全社員の資格取得を掲げる企業も存在するほどです。
一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)には、日本を代表するAIの専門家が多数所属しています。そのことから、AI分野では信頼性の高い資格と認められています。
よって、生成AIに興味のある方、ビジネスで生成AIを活用していきたい方に適した資格試験です。
生成AIパスポートの難易度はどれくらい?
公式サイトで発表されている内容によると、合格率は「76.78%」のようです(2025年3月時点)。
難易度はそれほど高くないため、AI初学者でも気軽に挑戦できる試験といえます。
もちろん、初めてAI分野に触れる場合は、これまで馴染みのない専門用語が多いことから、やや難しく感じるかもしれません。
とはいえ、生成AIの基礎をしっかり勉強すれば問題なく取得できるでしょう。
生成AIパスポートを取得する4つのメリット
「合格率が高い資格を取得して意味があるの?」と考える方も多いかもしれません。
しかし、本資格を取得することで、以下4つのメリットにつながります。
- 生成AIの基礎理解が深まる
- 生成AIを活用する不安を払拭できる
- 生成AIを安全に活用できることをアピールできる
- キャリアアップにつながる可能性がある
順番に見ていきましょう。
1.生成AIの基礎理解が深まる
生成AIを業務で活用するには、仕組みやリスクを理解することが不可欠です。資格取得に向けた勉強を進めることで、生成AIの基礎を自然に学べます。
また、生成AIのリスク管理に関する知識は、AI分野に限らず一般的なビジネスシーンでも役に立ちます。
個人情報保護や著作権、商用利用のルールは、多くの職種で必要とされる知識です。よってAIを扱わない業務でも活かせるでしょう。
2.生成AIを活用する不安を払拭できる
生成AIの活用を検討しているものの、漠然とした不安から導入に踏み切れていない方は多いのではないでしょうか。
例えば、以下の通りです。
- 機密情報や個人情報が漏れてしまうのではないか……。
- 生成された文章や画像が他人の著作権を侵害してしまわないか……。
- 誤情報に気がつかずに発信・拡散してしまわないか……。
AIがどれほど便利でも、このような不安があると気軽に利用しにくいものです。
しかし、本資格の勉強に励むことで、AI利用のリスクを正しく理解できます。漠然とした不安が払拭されることで、自信を持ってビジネスに活用できるでしょう。
実際、公式サイトの発表データによると、本資格の取得したことで業務削減時間が「平均2.3時間→平均3.3時間」と増加しているようです。
なお、生成AIのリスクについては、以下の記事で詳細を解説しています。事例や対策も紹介していますので、興味のある方は参考にしてみてください。
3.生成AIを安全に活用できることをアピールできる
試験に合格すると、「AIを安全に活用できること」を合格証で証明できます。
客観的な実績があることで、企業も安心してAI関連の業務を任せることができるわけです。
さらに、日本最大級のフリーランス向けクラウドソーシングサイト「Lancers(ランサーズ)」では、プロフィール上に「認証バッジ」を表示可能です。
同じく客観的な実績をアピールできることで、AI関連の案件獲得に好影響を与える可能性が高いです。よって独立や副業においても役に立つ資格といえます。
4.キャリアアップにつながる可能性がある
AI市場は、今後も需要の拡大が見込まれており、AIリテラシーを持つ人材はキャリアアップにつながる可能性が高いでしょう。
IDC Japan株式会社が2024年4月に発表した「国内AIシステム市場予測」よると、国内AIシステムの市場規模は、2023年に6,858億7,300万円であったのに対し、2028年には2兆5,433億6,200万円まで拡大すると予測されています。
出典:2024年
国内AIシステム市場予測を発表|IDC Japan 株式会社
さらに、経済産業省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査」によると、2030年までに不足するAI人材は約12万人に上るとのことです。
このように、近年はAI人材の需要が急速に拡大しています。資格を取得し、AIリテラシーを有していることを証明できれば、企業からの人事評価も高まるでしょう。
その結果、社内でAIを活用する部署にキャリアアップできたり、年収の高い企業にAI人材として転職できたりする可能性が期待できます。
生成AIパスポートの試験概要
生成AIパスポートの試験概要は、以下の通りです。
名称 |
生成AIパスポート試験 |
開催形式 |
オンライン(IBT形式) |
試験時間 |
60分 |
問題数 |
60問 |
出題範囲 |
シラバスより出題 |
料金(税込) |
一般:11,000円 学生:5,500円 |
公式サイト |
続いて、試験日程、出題範囲、受験費用について詳しく見ていきましょう。
試験日程
2025年における生成AIパスポートの試験日程は、以下の通りです。
|
申込期間 |
受験期間 |
第1回 |
2024年10月1日0:00〜 |
2025年2月1日0:00〜 |
第2回 |
2025年2月1日0:00〜 |
2025年6月1日0:00〜 |
第3回 |
2025年6月1日0:00〜 |
2025年10月1日0:00〜 |
※試験日程は今後変更となる可能性もあります。
試験は基本的に「年3回」おこなわれます。受験期間中であればいつでも挑戦できるため、好みのタイミングで受験するとよいでしょう。
出題範囲
試験で出題される範囲は、公式サイトに掲載されている「生成AIパスポート試験シラバス」より詳細を確認できます。内容は第5章まであり、主に以下が出題されます。
大項目 |
主な内容 |
第1章 |
・AI(人工知能)の定義 ・AIに知力を与える仕組み ・AIの種類や歴史 ・シンギュラリティ(技術的特異点) |
第2章 |
・生成AI(ジェネレーティブAI)とは ・ChatGPT |
第3章 |
・生成AIができること ・ディープフェイク(深層偽造)技術 |
第4章 |
・ITリテラシー ・セキュリティやプライバシー ・個人情報の保護 ・制作物の権利 ・AIを取り巻く理念と原則・ガイドライン |
第5章 テキスト生成AIのプロンプト制作の実例 |
・LMとLLM ・プロンプティングの実行 ・文章生成AIを用いたビジネス応用 ・文章生成AIの不得意なこと |
上記を見ただけでは難しそうに感じるかもしれませんが、合格率は7割以上あります。基礎知識をしっかり学べば、初学者でも問題なく合格できるでしょう。
受験費用
生成AIパスポートを受けるために必要な費用は、以下の通りです。
- 一般:11,000円(税込)
- 学生:5,500円(税込)
学生の方は一般の半額で受験可能ですが、その際は学生証の提示などが求められます。
なお、団体受験の場合は、最大20%の割引きが適用されます。
生成AIパスポートの勉強方法3選
本資格の勉強方法としては、以下の3つがおすすめです。
- 公式テキスト&問題集を活用する
- 公式認定の試験対策講座を受講する
- 公式のクイズアプリで試験を体験する
上記は公式サイトでも推奨されていますので、ぜひ取り組んでみてください。
1.公式テキスト&問題集を活用する
生成AIパスポートは、以下2冊の公式テキストや問題集が販売されています。
どちらも一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が認定するテキスト&問題集であるため、試験本番に直結する内容を学べます。
特に問題集には試験の模擬問題がついています。インプットとアウトプットをおこなうことで効率的に記憶の定着が進むでしょう。
2.公式認定の試験対策講座を受講する
テキストによる学習に苦手意識がある場合は、動画講座を受講する方法もあります。
例えば、以下の講座がおすすめです。
上記はすべて一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)の厳選な評価を通過した「認定機関」が提供する講座です(GUGA認定機関一覧)。
生成AIパスポートの講座はさまざまな種類がありますが、公式から認定を受けているものだと安心して受講できるでしょう。
3.公式のクイズアプリで試験を体験する
公式が提供する「生成AIパスポートAIクイズアプリ」を利用するのもおすすめです。
このアプリを使えば、LINE上にて誰でも無料で生成AIパスポート試験を簡易的に体験できます。◯✕形式のクイズになっているため、空き時間を活用して手軽に対策を進められるでしょう。
ただし、試験本番は四肢択一式で出題されます。よって公式テキストや問題集と併用するのがおすすめです。
生成AIパスポートの過去問はある?
過去問は見つかりませんでしたが、公式サイトにはサンプル問題が公開されています。
また、公式が推奨する「生成AIパスポートテキスト&問題集」には模擬問題もついていますので、これらを活用すると本番のイメージをつかめるでしょう。
生成AIパスポート以外に役立つAI関連の資格
AIを正しく扱える人材の需要はますます拡大しており、AI関連の資格取得はリテラシーを証明するのに有効です。そのため、以下の資格取得に挑戦してみるのもおすすめです。
資格名 |
内容 |
人工知能・機械学習・ディープラーニングの基礎リテラシーを習得できる資格 |
|
ITを利用するすべての社会人・学生が備えておくべき基礎知識を習得できる国家資格 |
|
ディープラーニングの実装能力と知識の判別をする資格 |
|
データサイエンティストとしての基本知識と実務能力を証明するための資格 |
上記はすべて初心者向けのAI関連資格です。生成AIパスポートで学んだ知識を応用しやすいため、興味のある方は視野に入れてみてください。
なお、AIに関わる資格については、以下の記事で詳しく紹介しています。
まとめ:生成AIパスポートを取得してキャリアの幅を広げよう
生成AIパスポートは、AIの活用リスクを防止するために誕生した資格試験です。
生成AIには情報漏えいや著作権侵害など、さまざまなリスクが潜んでいます。そのため、AIを導入する企業にとって、AIリテラシーを有する人材の確保が急務となっています。
資格を取得すれば客観的な実績証明になるため、AI分野でのキャリアアップが期待できるでしょう。個人利用においても、漠然とした不安が払拭されれば自信を持って活用できます。
合格率は7割以上と比較的高く、そこまで難しい試験ではありません。これからAIの業務活用を検討している方は、ぜひ気軽に挑戦してみてください。