Manusとは?中国発の自律型AIエージェントの特徴や活用方法を徹底解説

Manus(マナス)は、中国のスタートアップ企業「Monica」が開発した完全自律型AIエージェントです。
従来の生成AIは、目的を達成するために、ユーザーが逐一指示を与える必要がありました。
しかし、Manusは一度目的を設定するだけで、AIが自律的に判断・行動し、タスクを完了させるのが大きな特徴です。
そこで本記事では、Manusの特徴や活用事例、実際に使ってみた様子などを紹介します。
「最近話題のAIエージェントに興味がある」「AIを活用していきたいが、指示を送るのが面倒だ」と感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
Manus(マナス)とは?
Manus(マナス)は、中国のスタートアップ企業「Monica」が開発した完全自律型AIエージェントです。
2025年3月に発表されたばかりの新サービスで、現在多くの注目を集めています。
これまでのChatGPTのようなAIチャットボットは、ユーザーからの質問や指示に対して回答を生成するだけの存在でした。
しかし、Manusはその一歩先まで進化を遂げています。ユーザーが具体的な指示を与えなくても、まるで人間のように自ら判断・実行することが可能です。
プロンプト(指示文)を入力する手間が省けるため、初心者はもちろん、すでにAIを活用しているユーザーでも、さらに高い業務効率化が期待できます。
Manusは何がすごい?5つの特徴を紹介
Manusは、従来型のAIチャットボットとは異なる革新的なツールです。
ここからは、具体的な特徴を5つ紹介します。
- AIが自律的にタスクを実行
- OpenAIのDeep Researchを超えるパフォーマンス
- 思考プロセスのリアルタイム表示
- 複数形式のデータを処理するマルチモーダル対応
- クラウドベースでタスクを非同期処理
1.AIが自律的にタスクを実行
ここまでお伝えしたように、Manusは自律的にタスクを実行できる機能を備えています。
ユーザーは目的となる指示を与えるだけで、その後はAIが自ら必要な行動を判断・実行し、成果物を提供します。
例えば「沖縄旅行のプランを計画してほしい」と依頼すると、モデルプランや観光スポットの情報をまとめるだけでなく、宿泊施設や交通手段までも自動で調べて提案してくれます。
従来のAIチャットボットでは、目的を達成するまでにユーザーが付き添いながら指示を繰り返す必要がありました。
しかし、Manusであれば、一度ゴールを設定するだけで自律的にタスクを実行してくれます。ユーザーは席を離れたり、別の作業をしたりしても問題ありません。
これにより、人間はこれまで以上に創造的な業務や意思決定といった、本来注力すべき業務にリソースを割けるようになります。その結果、大幅な生産性向上が期待できるでしょう。
2.OpenAIのDeep Researchを超えるパフォーマンス
Manusは、非常に高い処理能力を誇っています。
GAIAベンチマーク(AIエージェントの能力を評価する指標)では、OpenAIのDeep Researchを超えるパフォーマンスを記録しています。
出典:Manus
例えば、レベル1の正答率は「Manus:86.5%」「OpenAI Deep Research:74.3%」と、Manusが大きく上回っています。レベル2やレベル3においても同様の結果となりました。
このように高い処理能力を備えているため、複雑な工程を含むタスクでも、複数の処理を同時並行でこなせるというわけです。
3.思考プロセスのリアルタイム表示
Manusは、AIの思考プロセスをリアルタイムで表示可能です。
画面が分割されており、左側に思考プロセス、右側に出力結果が表示されます。
従来のAIは「ブラックボックス問題」が課題とされていました。
ブラックボックスとは、AIが下した判断の根拠がわからないことから、出力結果に深刻な誤りがあったとしても気がつかない、改善できないという問題のことです。
例えば、AIがインターネット上の誤情報を参照してしまった場合、その誤情報がそのまま出力結果に反映されてしまう可能性があります。
しかし、AIがどのような情報を参照しているのかを把握できないと、ユーザーはその情報の信頼性を判断できず、不安を感じることも多いでしょう。
一方で、AIがどのような情報をもとに業務を遂行したのかが把握できれば、ファクトチェック(事実確認)も効率的におこなえます。
つまり、思考プロセスが”見える化”されていることは、誰でも安心して業務を任せられることにつながります。これは、業務効率化において非常に重要な要素といえるでしょう。
4.複数形式のデータを処理するマルチモーダル対応
Manusは、複数形式のデータを処理する「マルチモーダル」に対応しています。
テキスト以外にも、画像や音声、動画などのデータも処理できるため、さまざまな用途で活用できます。
例えば、以下のようなタスクも実行可能です。
- 録音データの文字起こし
- PDF資料の要約
- 名刺作成
- ミニゲーム作成
近年は、ChatGPTやGeminiなどもマルチモーダルに対応しており、AIツールの機能はますます高度化しています。Manusも例に漏れず、幅広いシーンで活躍が期待できるでしょう。
5.クラウドベースでタスクを非同期で処理
Manusは、クラウド上で動作する仕組みを採用しているため、オフラインの状況でもタスク処理を継続できます。
例えば、膨大なデータ分析や情報収集を必要とするタスクでは、完了までに数十分の時間を要することも少なくありません。時間がかかると、ついパソコンを閉じてしまいたくなることもあるでしょう。
しかし、Manusならパソコンを閉じた後もバックグラウンドで業務を継続してくれるため、作業が中途半端になることがありません。
これにより、時間を無駄にせずタスクを完了できます。
Manusの活用事例6選
ここからは、具体的な活用事例を6つ紹介します。
- 市場調査とレポートの作成
- PDF資料の作成
- Webサイトの作成
- 旅行プランの作成
- 簡単なゲームの開発
- フォーム営業の自動化
1.市場調査とレポートの作成
通常、市場調査とレポート作成は数日かけておこなうものですが、Manusに依頼すると数分〜数時間で完了します。
AIエージェントが、複数の情報源から膨大なデータを収集・分析・整理し、必要に応じてグラフやチャート作成まで対応してくれます。
そのため、マーケティング部門においても、非常に実用的なツールといえるでしょう。
2.PDF資料の作成
マーケティングのリサーチだけでなく、PDF資料の作成も自動で実行できます。
参考画像を貼り付けることで、理想に近い表紙やレイアウトに仕上げることも可能です。
多少の修正は必要になるかもしれませんが、人間が携わる業務を大幅に削減できるため、事務作業の負担が大きく軽減されるでしょう。
3.Webサイトの作成
Webサイト形式でのアウトプットにも対応しています。
通常、Webサイトを作成するにはHTMLやCSS、JavaScriptなどの専門的なコーディング知識が必要です。
しかし、Manusに依頼すれば、ゴールを設定するだけでコードの生成からデプロイ(配置や展開)、URLの発行までを自動で実行してくれます。
コードの提案自体は、ChatGPTなど他の生成AIでも可能です。しかし、2025年4月時点では、コード例を提案してくれるだけに過ぎず、Web上に公開するには手作業が必要です。
その点、Manusは作成から公開までワンストップで完了するため、簡単な自己紹介サイトやランディングページ程度であれば、誰でも作成可能となっています。
4.旅行プランの作成
前述しましたが、Manusは旅行プランの作成に活用するのもおすすめです。
目的地や日程、予算や趣味関心などを伝えるだけで、AIエージェントが自動で最適なプランを調査して提案してくれます。
予約サイトの比較やガイドブック作成などにも対応しているため、旅行を充実させるための最適なサポートツールとなるでしょう。
5.簡単なゲームの開発
ゲームを開発した事例も報告されています。
Manusはコーディングの自動化に対応しているため、アイデアの発想のみでアウトプットができます。
高度なゲーム開発には限界がありますが、Minecraft(マインクラフト)やスーパーマリオのようなシンプルなゲーム作成には有効です。
6.フォーム営業の自動化
企業の問い合わせフォームを活用した「フォーム営業」にも応用されています。
具体的には、ターゲット企業のリストや送信する文面を指定するだけで、AIエージェントが自動で各企業の問い合わせフォームに営業メールを送信してくれます。
従来であれば、企業ごとにフォームへアクセスし、情報を手入力する必要がありました。しかし、Manusを使うことで、入力の手間を大幅に削減できます。
多数の企業に効率よくアプローチできるため、営業担当者にとっても実用的なツールといえるでしょう。
Manusの料金プラン
料金プランは、以下の通りです(2025年4月時点)。
プラン名 |
料金 |
クレジット |
スタータープラン |
39ドル/月(約6,000円) |
3,900クレジット |
プロプラン |
199ドル/月(約30,000円) |
19,900クレジット |
参考:Manus
クレジットとは、タスクの実行に使用されるものです。タスク処理が複雑・長時間になるほど多く消費される仕様となっています。
無料ユーザーにも1,000クレジットが配布される(2024年4月時点)ため、まずは無料配布分のクレジットを使用し、AIエージェントの魅力を体感してみてください。
なお、公式サイトによると、クレジットの消費量は以下のように紹介されています。
- データ分析(200クレジット)
- 招待状ウェブページ(360クレジット)
- 複雑なアプリ開発(900クレジット)
無料クレジットはあっという間に消費してしまうため、試したい機能に絞って利用するのがおすすめです。
Manusを実際に使ってみた
ここからは、実際に使ってみた様子を紹介します。
以下2つのタスクを依頼してみましたので、実行結果を参考にしてみてください。
- 市場調査
- 業績レポート作成
市場調査を依頼
まずは、SFA(営業支援システム)の市場調査をする目的で利用してみました。
プロンプト(指示文)は、以下の通りです。
なお、追加指示を入力し、提案書をPDF形式で出力するように調整しました。
Manusの思考プロセスは、以下の通りです。
完成したPDFファイルをクリックすると、以下のように表示されます。
こちらの市場調査をまとめたPDF資料(8ページ分)は、およそ12分程度で完成しました。
生成された資料を確認すると、エグゼクティブサマリー、市場規模の推移、市場拡大の背景やトレンド、業界別の効果的な営業戦略などがわかりやすくまとまっています。
指示を与えていない「ツールの導入事例」まで網羅されており、AIで作成したとは思えない質の高い資料になりました。
プロンプト(指示文)をさらに具体化したり、追加指示を加えながら調整したりすれば、実際の業務でも十分に活用できるでしょう。
業績レポート作成を依頼
続いて、特定企業の業績レポート作成を依頼してみました。
プロンプト(指示文)は、以下の通りです。
今回は、あえて簡潔な指示にしてみました。
実行結果は以下の通りです。
完成したレポートは、以下の通りです。
比較表やチャートによるビジュアル化も取り入れられており、数値や特徴が一目で把握できる構成になっています。
情報も整理されているため、非常にわかりやすいレポートといえるでしょう。
なお、追加指示の提案に「Webサイト形式での公開」が表示されていたため、クリックしてみました。
実行結果は、以下の通りです。
完成したWebサイトを見てみましょう。
先ほどのレポートでもわかりやすいものでしたが、Webサイト形式ではさらに直感的に理解しやすい形で表示されました。
こちらのレポートとWebサイトは、合わせて15分程度で完成しています。
一発でここまでの品質を提供してくれるため、ビジネスでも十分に活用できるでしょう。
Manusの使い方
Manusは、以下の手順で利用できます。
- 公式サイトにアクセスする
- メールアドレスとユースケースの入力
- 届いたメールから利用開始
1.公式サイトにアクセスする
まずは、公式サイトにアクセスします。
アクセス後は、「始める」または「Manusを試す」をクリックします。
すると、以下の画面に切り替わります。
招待コードがある場合は入力、招待コードがない場合は「ウェイトリストに参加
する」をクリックしましょう。
2.メールアドレスとユースケースの入力
「ウェイトリストに参加する」をクリックすると、以下の画面に切り替わります。
メールアドレスやユースケース(利用目的)の入力は必須であるため、入力して招待コードのリクエストを送信しましょう。
3.届いたメールから利用開始
リクエストが承認されると、メールが届きます。案内に従って利用を開始しましょう。
メールは数分で届きますので、すぐにサービスを利用できます。
なお、プロンプト(指示文)は、画面中央に表示されている入力欄から簡単に入力できます。
無料で1,000クレジットが配布されています(2025年4月時点)ので、使いすぎに気をつけながら試してみてください。
Manusを利用する際の注意点
Manusは便利なツールですが、利用する際は以下2つのリスクに注意が必要です。
- 誤情報を生成する可能性がある
- 入力データが漏れる可能性がある
それぞれ解説します。
1.誤情報を生成する可能性がある
どのAIツールも同様ですが、出力結果には誤情報が含まれている可能性があります。
これは、AIがインターネット上にある”誤情報や古い情報が含まれたWebサイトやSNS投稿”などを参照してしまうことが原因です。
インターネット上には、以下のようなコンテンツも多く存在します。
- 個人の主観的な意見
- 掘測や推測による考察
- 数値の入力ミスによる不正確なデータ
- 最新情報に更新されていない企業サイト
このような偏見や誤った情報をAIが参照してしまうと、事実に基づかない出力結果となってしまうことがあります。
したがって、AIの出力結果を鵜呑みにするのではなく、必ず最後には人の目によるファクトチェック(事実確認)をおこなうようにしてください。
Manusは、AIの思考プロセスが可視化されているため、どのような情報を参照したのかを確認する術を持ちましょう。
2.入力データが漏れる可能性がある
こちらも他の生成AIと同じく、情報漏えいのリスクには注意が必要です。
実際に、Manusの利用規約を確認しても「サービス改善のためにユーザーデータを使用する場合がある」という旨が記載されています。
また、開発元のMonicaは中国企業です。中国には国家情報法などの法律があり、政府の要求によってデータを提供しなければならない場合もあります。
公式のプライバシーポリシーにも、以下のような記載がされていました。
インターネットにアクセスする以上、情報漏えいのリスクを完全に防ぐことは難しいのですが、できるだけ個人情報や機密情報は入力しないようにしましょう。
なお、以下の記事では「生成AIのセキュリティリスク」を実際に事例とともに詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひこちらも参考にしてください。
まとめ:Manusを活用して業務効率化を加速させよう
Manus(マナス)は、一度ゴールを設定すれば自動でタスクを実行してくれる自律型のAIエージェントです。
従来の生成AIとは異なり、人間がその都度で指示を与える必要がありません。人間は最低限の指示のみで済むため、これまで以上に業務効率化や生産性アップが期待できます。
市場調査から高品質なレポート作成までワンクリックでできてしまうため、ビジネスシーンでも十分に活用できるでしょう。
無料ユーザーでも1,000クレジットが配布されています(2024年4月時点)。ぜひこの機会にAIエージェントを触ってみてください。

この記事の監修
黒山結音 - Sooon株式会社COO。「AI×営業」などの最先端ノウハウを発信。ChatGPT、Gemini、FeloなどのAIツールを活用した営業効率化手法を開発し、非エンジニアでも実装可能なメソッドを指導。「GMOコラボ 生成AI大感謝祭」に登壇者として、「AIグランプリ2025 春」に審査員として参加。生成AIパスポート保持 / Feloアンバサダー / tl;dvパートナー