AIの進化で営業職はなくなる?心配ない3つの理由と今後重要になるスキル

「営業職はAIに仕事を奪われていくのだろうか……」
「AIは人の感情を読めないと言うけど、将来的にはどこまで対応するのだろう……」
「このまま営業の仕事を続けていいのか不安になってきた……」
AI技術は日進月歩で進化を続けており、ビジネスシーンでも多くの仕事が自動化されつつあります。業務効率化が進み、生産性アップを実現した企業も多いでしょう。
ただ、AI技術の進化が止まらない現状から「いずれ営業職もなくなるのでは……」と不安を感じている方もいるかもしれません。
結論からお伝えすると、どれだけAI技術が進化しても営業職が完全になくなる可能性は低いと考えられます。むしろAIと共存することで、営業職の価値はこれまで以上に高まっていくでしょう。

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AIが進化しても営業職がなくなることはない3つの理由
AIの進化は目覚ましいものがあります。
しかし、以下に挙げる3つの理由から、営業職が完全になくなることはないでしょう。
- AIはインターネット上にある情報しか扱えない
- 世の中には専門知識を活用できない人も多い
- 信頼関係は人同士のやりとりでしか生まれない
順番に解説します。
1.AIはインターネット上にある情報しか扱えない
まず挙げられるのが、AIはインターネット上にある情報しか扱えないことです。
AIは大量のデータを学習することで、顧客ニーズに沿った商品提案を得意としています。営業を介さずとも求めている商品を探し出せる、むしろ好きなタイミングで購入できることから、AI時代に営業職は不要に感じるかもしれません。
しかし、AIが提案できる商品はあくまでも「インターネット上に存在するもの」に限ります。どれだけ優秀なツールであっても、機械学習していない情報提供はできません。
つまり、AIツールに「開発中である商品やサービスの紹介」は不可能です。顧客の悩みを解消する「最先端技術の話」も難しいでしょう。
テクノロジーが進化をすれば、それに合わせて市場や顧客ニーズも変化していきます。新しい商品やサービスを投入してもすぐに陳腐化し、企業は次々に新しいアイデアを発想しなければ、あっという間に取り残されてしまう状況です。「AIは機械学習した情報提供しかできない」という性質を考慮すると、営業職のすべてをAIに代替するのは、企業として大きなリスクになります。
2.世の中には専門知識を活用できない人も多い
次に挙げられるのは、世の中には専門知識を活用できない人も多いことです。これまで顧客に専門性の高い情報をわかりやすく伝えるのが、営業職の価値とされてきました。しかし、インターネットの普及によって、難しい知識をわかりやすく解説する記事や動画コンテンツも増え、営業職に頼る必要性はなくなりつつあります。
ただ、すべての人に調べる習慣があるのか?といえば、そうではありません。手元のスマートフォンで検索すればわかるようなことでも、実は多くの人が調べることを怠っています。
例えば、2023年9月にナイル株式会社が「SGE(生成AI検索体験)の認知とユーザー検索行動に関するアンケート調査」を実施しました。この調査では「SGE(生成AI検索体験)を知っているが利用したことがない」と回答した86名に理由を聞いています。その結果、41.9%が「使い方がわからない」と答えています。
また「SGE(生成AI検索体験)を使いたくない」と回答した112名に理由を聞いたところ、16.9%が「使い方を調べるのが面倒だから」と回答しています。
このように、インターネットですぐに情報が手に入る昨今でも、すべての人が積極的に情報を取りにいくわけではありません。特に専門的で難しい知識を自分から学ぼうという人は、そう多くないでしょう。
さらにいえば、人間には「検討できる選択肢が多すぎると、逆に1つも選べなくなってしまう」という心理現象があります(ジャムの法則)。メニューが多い飲食店で決断に時間をかけた経験は誰もがあるでしょう。
さまざまな情報が手軽に手に入る現代だからこそ、何を選べばいいのかわからずに困っている顧客もたくさんいます。
よって、顧客ニーズに寄り添って情報の取捨選択をサポートする営業職は、今後も貴重な存在であり続けるといえます。
3.信頼関係は人同士のやりとりでしか生まれない
各企業の技術・サービス力が進んだ現代では、商品やサービスそのもので差別化するのが難しくなっています。また、情報過多の背景もあり「どの企業の商品・サービスを選べばいいのかわからない」と悩んでいる消費者も少なくありません。
そのため、近年では「自分が信頼できる企業(人)から購入しよう」という傾向が強くなっています。「何を買うか」よりも「誰から買うか」の重要度が高まっているのです。
実際、株式会社バニッシュ・スタンダードのアンケートによると、商品の購入を迷っている際に最も参考にする人は「家族・友人(41%)」「お店の店員(28.5%)」の順番で回答されており、芸能人(5.5%)やインフルエンサー(5.0%)を大きく引き離す結果となりました。
AIは顧客ニーズに沿った商品やサービスの提案が得意ではありますが、ただ商品やサービスの魅力を伝えることしかできません。お客さまに「この人から買いたい」と感じてもらうには、会話によるコミュニケーションを繰り返して信頼関係を築く必要があります。特に商品やサービスが高額になるほど、信頼関係が購買行動に影響を与えるでしょう。
AIロボットが感情豊かに会話するというイノベーションが起きる可能性もゼロではありません。とはいえ、人間の持つ「熱量」や、作り笑い・目線移動などによる「微妙な感情を汲み取る力」をAIがどこまで再現できるかは、現時点で疑問が残ります。
営業職に重要なスキルは、単純なプレゼン力だけではなく「顧客と信頼関係を築けるコミュニケーション力」です。よって、今後も重要な存在であり続けるでしょう。
AIの進化により営業でなくなる可能性がある業務
AIが進化しても営業職が完全になくなることはないでしょう。
しかし、同じ営業職でも以下のような業務はAIに奪われる可能性が高いです。
- 営業事務
- 単純な販売営業
- 個人向けの飛び込み営業
順番に見ていきましょう。
1.営業事務
営業事務は、今後なくなる可能性が高いでしょう。
例えば、以下のような業務を指します。
- 顧客リストや在庫の管理
- 見積書や請求書などの発行
- 業務に関わる資料の整理
- お問い合わせメールの対応
このようなパターン化された業務はAIが得意とする領域です。業務効率化だけでなく、ヒューマンエラーも防げるため、AIに代替されていくでしょう。
2.単純な販売営業
商品の説明をするだけ、顧客の要望を聞くだけのような単純な販売営業もなくなる可能性があります。
例えば、以下のような仕事は、マニュアル業務や御用聞き業務になるケースが多いのではないでしょうか。
- 保険営業
- 不動産営業
- ルート営業
顧客の要望を聞き、最適な商品やサービスを持ってくるだけの業務なら、AIでもできてしまいます。
AIに仕事を奪われないためには、顧客の潜在ニーズを汲み取った提案をする、信頼関係を築くといった人間らしさを磨くことが重要です。
3.個人向けの飛び込み営業
飛び込み営業は、時代遅れになりつつあります。インターネットが普及する前は、多数の訪問先を回って売り込みをする方法が有効でした。顧客と対面で話すことで、信頼関係を築きやすいからです。
しかし、現代はインターネットから好きなタイミングで情報収集・購入ができるようになりました。また、見込み顧客リストの作成・一斉メール送信ができる営業支援ツールも普及しており、わざわざ新規顧客開拓のために直接訪問する必要性は薄れています。
むしろ、アポイントなしで営業をかけられると、相手は迷惑を感じる可能性があります。忙しいときに強引な対応をされたり、必要のない商品やサービスを売り込まれたりすると、企業のイメージを悪化させてしまうでしょう。
直接会話による信頼性構築は重要ですが、飛び込み営業は効率が悪いためAIに代替されていくと考えられます。
営業活動にAI導入が注目されている背景
AIによって営業職が完全になくなるわけではありませんが、これから多くの業務がAIに代替されていくでしょう。
営業活動にAI導入が進んでいる背景には、以下の3つが挙げられます。
- 事務作業の負担が大きくなっている
- 採用コストの高騰が続いている
- 業務の属人化が進んでいる
順番に解説します。
1.事務作業の負担が大きくなっている
少子化が進んでいる昨今、多くの企業が人手不足に悩まされています。
その結果、1人あたりにかかる事務作業の負担が大きくなり、本来の営業活動に時間を使えない方も多いのではないでしょうか。
実際、株式会社LiNewが2022年12月に実施した調査によると、20歳〜69歳の営業職や事務職221名のうち、71.8%が営業まわりの管理や請求業務にExcelまたは類似ツールを使用した管理に「大変さを感じている」と回答しています。
また、60%が事務作業に時間を取られることにより「通常作業に支障が出ている」という結果にもなりました。
近年は、人手不足だけでなく、働き方改革によって労働時間の上限規制も厳しくなっています。営業職には、短時間で高いパフォーマンスが求められており、その実現には「AIで事務作業を自動化すること」が欠かせません。
こういった背景があるため、事務作業のようなパターン化された業務は、AIへの代替が進んでいくでしょう。
2.採用コストの高騰が続いている
少子化による人手不足は「採用コストの高騰」にもつながっています。
dodaが公表する「転職求人倍率レポート(2024年11月)」によると、営業職の転職求人倍率は2024年11月時点で3.19倍となっています。
また、パーソル総合研究所が公表する「労働市場の未来推計2030」によると、2030年には644万人の人手不足が起きると予測されており、今後も求人倍率は高い水準を維持していくことが見込まれます。
求職者1人あたりに仕事の選択肢が多いと、企業は自分たちを選んでもらうために、人件費を高くせざるを得ません。その結果、採用コストが高騰し、人手不足に拍車がかかる形となるわけです。
このような採用コスト高騰の背景も、企業がAI導入を積極的に進める理由になっています。
3.業務の属人化が進んでいる
近年はオンライン化によって、営業活動の難易度が高まっています。顧客はインターネットから手軽に商品やサービスを探せるため、「ただ商品を紹介する・説明するだけ」では成約につながりにくくなっているのです。
営業職が業績を上げるには「顧客の潜在ニーズにアプローチすること」「信頼関係を築くこと」が重要になります。ただ、高度なスキルレベルが求められるため、企業は限られた社員のパフォーマンスに頼らざるを得ない状況になっています。
優れたノウハウを社内で共有したくても、人手不足では教育や研修になかなか時間を使えません。従来なら社内での雑談から情報交換もできましたが、オンライン営業が主流となった現代では、その何気ない時間もほとんどなくなりました。
実際、日本オラクルが2023年4月に実施した調査アンケートによると、経営部門の85%が「自社の営業活動は属人化されている」と考えているようです。
参考:国内企業調査レポート「営業DXの現状」Vol.3:経営部門の皆様、SFA/CRMによって期待する成果が出ていますか|日本オラクル
多くの企業で「〇〇さんが休む(退職する)と業務が回らなくなる」という課題を抱えています。そのため、AIを活用して「業務の標準化」を目指す企業が増加しているのです。
AIツールには、顧客情報からニーズ分析をする機能や、過去の商談データから成功パターンを共有する機能などが備わっています。属人化を解消するために、AIを導入する企業はますます増えていくでしょう。
AIの進化は悪いことだけではない!営業職に与える3つのメリット
「AIは営業職の仕事を奪う」のようなネガティブな意見もありますが、AIの進化は悪いことではありません。
AIと営業職は、共存することで以下3つのメリットを受けられます。
- 事務作業の負担を軽減できる
- 人間にしかできないコア業務に集中できる
- データを活用した質の高い営業戦略を立案できる
順番に見ていきましょう。
1.事務作業の負担を軽減できる
AIを導入することで、以下のような事務作業の負担を軽減できます。
- 見積書や提案書作成
- 議事録作成
- 納品書や請求書の作成
- 顧客データの登録・管理
- 営業スケジュール管理
- お問い合わせ対応
事務作業の効率化は、残業時間の抑制・ワークライフバランスの向上につながります。心にゆとりができることで、営業活動の業績アップが見込めるでしょう。
2.人間にしかできないコア業務に集中できる
事務作業のような単純作業を自動化できれば、営業担当者は「人間にしかできないコア業務」に集中できるようになります。
コア業務とは、売上や利益を直接生み出す仕事のことです。具体的には以下を指します。
- 営業戦略の立案
- 商談
- 顧客とのコミュニケーション
クリエイティブな業務やコミュニケーションには集中力が必要です。事務作業に時間や労力を奪われないことで、これまで以上に業務パフォーマンスが向上するでしょう。
3.データを活用した質の高い営業戦略を立案できる
AIは大量のデータを瞬時に分析し、最適な結果を導き出すことに長けています。
例えば、市場状況や過去の取引履歴を分析し、顧客のニーズとそれに沿ったアプローチ方法を提案できます。また、社内のトップ営業マンのメールや商談内容を分析することで、成果につながりやすい営業手法の共有も可能です。
AIが導き出したデータを活用すれば、より高度な戦略立案と意思決定ができるようになります。的確なニーズ把握と優れたノウハウの共有は、営業活動に重要な信頼関係の構築に大きく貢献するでしょう。
AI時代に営業職が身につけるべきスキルとは?
今後の営業職は、AIに代替できないスキルを身につけている人物の価値が高まります。
具体的には、以下の知識・スキルが重要になるでしょう。
- 自社商品に関する深い知識
- 顧客の潜在ニーズを引き出すヒアリング力
- 臨機応変に対応できる意思決定力
- 新商品やサービスを提案する企画力
- AIを使いこなすリテラシー
順番に解説します。
1.自社商品に関する深い知識
「AI検索を使いこなせていない」「専門知識を正しく理解できない」「インターネット上にはない最新情報を知りたい」といった顧客は少なくありません。
自社商品に関する深い知識を持っていると、顧客との会話を通じて、自分の頭の中にある引き出しから適切な情報を提供できます。
情報過多の時代だからこそ、必要な情報を取捨選択して届けてくれる営業職は貴重な存在になります。「自社商品がどのようなシーンで役に立つのか」を深く理解し、顧客の質問に対して、AI以上に的確な回答を出せる営業職を目指しましょう。
2.顧客の潜在ニーズを引き出すヒアリング力
インターネットで手軽に商品やサービスを探せる現代において、営業職に求められる役割は「顧客自身も気が付いていない潜在ニーズを引き出すこと」です。
「漠然とした悩みはあるが、何をすればいいのかわからない」といったニーズに対して、的確な提案ができる営業職は信頼を得やすいでしょう。
マーケティング業界で有名な話ですが「ドリルと穴」という考え方があります。
- ドリル(商品やサービス)
- 穴(実現させたい理想)
ドリルは穴を空けるひとつの手段に過ぎません。つまり、顧客が本当に求めているのは、性能のいいドリルを買うことではなく「穴」です。
私たちはドリルを買いにきた顧客に対して「ドリルの性能」を説明しがちです。しかし、顧客視点で考えると、実は性能の説明よりも「穴を空けた先の未来」を掘り下げたほうが心を動かされることが多いのです。
例えば「AIツールで業務効率化をしたい」という顧客がいたとします。よく話を聞いていくと「業務効率化でコスト削減をしたい」のが本音だとわかりました。この場合、AIツール導入以外にも、ペーパーレス化や広告費の見直しなどの提案も効果的となるでしょう。
「結局のところ何をしたいのか?」「言語化できていない現状の不満点は何か」などを突き詰めることで、顧客の潜在ニーズがくっきりと見えてきます。これは直接対話ができる人間ならではの技といえるでしょう。
近年のAIツールは市場状況や行動履歴などのデータ分析によって、顧客の潜在ニーズを導き出す機能が備わっています。しかし、現時点の技術では、顧客1人ひとりの性格やそのときの感情を汲むことはできません。
よって、顧客の潜在ニーズを引き出すための「ヒアリング力」が高い営業職は重宝されるはずです。
3.臨機応変に対応できる意思決定力
AIは、データを活用してさまざまな情報提供をしてくれますが、最終的な意思決定をするのは人間の仕事になります。
例えば、納期の調整や値引き交渉など「あともうひと押しで受注につながる」というのは営業活動でよくあるシーンです。
そのため、顧客のニーズや感情の変化を正確に汲み取り、臨機応変に意思決定のサポートができる営業職は、AI時代でも高い受注率となる可能性があります。よって企業からも重宝されるでしょう。
営業職こそ、顧客一人ひとりに寄り添って正しい知識を提供できると、AIに代替されない貴重な存在になれるはずです。
4.新商品やサービスを提案する企画力
AIはビッグデータを分析して最適な提案をすることは得意ですが、ゼロから何かを創造することは苦手としています。
また、AIで書類作成や顧客管理などの事務作業をする時間が削減されることで、私たち人間はより売上や利益に直結しやすい業務に集中できるようになります。
そのため、今後の営業職では「新しい商品やサービスの企画」も重要な仕事になってくるはずです。AIにはないクリエイティビティのある人材は、営業職でも活躍するでしょう。
5.AIを使いこなすリテラシー
営業職でも「顧客管理」「データ分析」など、多くの業務がAIに代替されています。人手不足の影響もあり、今後も業務の自動化は進み続けるでしょう。
AIツールの普及に対応するためには、営業職である私たちが「AIを使いこなすリテラシー(活用する力)」を身につけることも大切です。
AIツールを活用すれば、業務効率化が実現するだけでなく、ビッグデータを活用したアイデア創出もしやすくなります。つまり、AIと共存することで、これまで以上の営業成績が期待できるわけです。
これからの時代は「AIを正しく活用できるか否か」で、市場価値が大きく変わるといっても過言ではありません。
AIを敵とみなすのではなく、サポートツールとして効果的に活用していきましょう。
まとめ:AIが進化しても営業職がなくなることはない!時代に合わせたスキルを磨こう
AIの進化によって、営業職の役割は変化していくでしょう。
事務作業やデータ分析のような、AIが得意な仕事は代替されていき、人間は戦略立案や商談など、コア業務に時間を割くことになると考えられています。
いずれにせよ、営業職がAIに完全代替される可能性は低いです。AIが得意な仕事・人間にしかできない仕事がそれぞれ存在するため、共存することで業務パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
人手不足の影響もあり、これからAIの価値はますます高まっていくはずです。新時代に適応するためにも、ぜひこの機会に営業×AIのスキルを身につけましょう。
なお、以下の記事では「営業の仕事で使えるAIツールと活用事例」を紹介しています。興味のある方は、あわせて参考にしてみてください。