Generative AI Testとは?難易度・勉強方法・受験する3つのメリットを解説


「AI関連の資格を取得したい」
「Generative AI Testはどんな資格?」
「初心者でも受かる試験なの?」
AI技術は日々進化を続けており、本業や副業の業務効率化に活用する方が増えています。特に最近では、企業による導入事例も急増しています。
しかし「生成AIが便利」と聞きながらも、知識がないことで導入に踏み切れていない方も少なくありません。
そこで注目を集めているのが「Generative AI Test(ジェネレーティブエーアイテスト)」です。取得することで、生成AIを活用するうえでの知見を証明できます。
また、合格率も6〜7割程度と比較的高いのが特徴です。これからAI分野に関わりたいと考えている方にとって最適といえるでしょう。
本記事では、試験の詳細や勉強方法、受験のメリットなどについて詳しく解説します。受験を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
Generative AI Testについて
Generative AI Test(ジェネレーティブエーアイテスト)は、生成AIを適切に利用するための知見をチェックするための小テストです。
日本ディープラーニング協会が主催しており、誰でもPCやスマホから受験可能です。
なお、同協会が主催する試験には「G検定」と「E資格」もあります。これらとの違いは、主に以下の通りです。
試験名 |
特徴 |
難易度 |
生成AIの基本的な知見を問う小テスト |
低 |
|
機械学習や深層学習などAI全般の基礎知識を問う試験 |
低 |
|
AI開発の能力を確認するエンジニア対象の試験 |
高 |
よく比較されるG検定との違いは「出題内容」です。
本試験は生成AIのみが対象ですが、G検定は機械学習や深層学習などのAIそのものの基本的な知見を問われます。
とはいえ、G検定も受かる割合が60〜70%とそこまで難しい試験ではありません。AIの基本理解を深めるのなら、合わせて受験してみるとよいでしょう。
一方、E資格はAIモデルの実装力を求められます。また、受験するためには「認定プログラム」を修了する必要があり、比較的難しい試験となります。
Generative AI Testの難易度について
Generative AI Testの合格率は、60〜70%程度と比較的高めになっています。
以下は、公式サイトに掲載されている過去3回の試験における合格率になります(2025年3月現在)。
受験回 |
受験者 |
合格者 |
合格率 |
2023#1 |
1,122名 |
829名 |
73.89% |
2023#2 |
1,822名 |
1,162名 |
63.78% |
2024#1 |
1,775名 |
1,262名 |
71.10% |
2024#2 |
1,911名 |
1,339名 |
70.07% |
本試験は「基礎知識を体系的に学ぶこと」を目的としており、初学者でもしっかり勉強すれば十分に合格できる試験です。
もちろん、初めて学ぶ方は聞き馴染みのない専門用語が多く、少し難しいと感じるかもしれません。とはいえ、基礎を理解できれば問題なく合格を目指せるでしょう。
Generative AI Testの概略
Generative AI Testは、以下の内容で開催されます。
運営元 |
一般社団法人日本ディープラーニング協会 |
料金(税込) |
2,200円 |
時間 |
20分間 |
問題数 |
・選択(19問) ・記述(1問) |
実施形式 |
オンライン(PC/スマホ) |
対象者 |
誰でも受験可能 |
開催頻度 |
年2回(6月/12月) ※今後変動する場合あり |
公式サイト |
受験料は、2,200円(税込)と比較的リーズナブルで手軽に挑戦できます。
また、小テスト形式で出題数は20問、試験時間は20分と短いため、初学者でも気軽に挑戦しやすい試験です。
試験は、基本的に6月と12月の「年2回開催」となります。ただし、過去の傾向であり、今後変動する場合があります。
受験希望者は、公式サイトで詳細を確認しましょう。
Generative AI Testで出題される範囲
Generative AI Testの設問は、公式サイトの「シラバス」に基づいています。
主な内容は、以下の通りです。
- 技術について
- 利用について
- リスクについて
それぞれ解説します。
技術について
技術関連では、主に以下の内容が問われます。
- 生成AIモデルに共通する特徴
- 大規模言語モデルの構造
- 大規模言語モデルの学習方法
- 大規模言語モデルの倫理との調合
- 大規模言語モデルの性能評価
専門用語としては「GPT-3」「ファインチューニング」などが挙げられます。どんなシステムになっているのかを学んでいきましょう。
利用について
利用関連では、主に以下の内容が問われます。
- 生成AIにできることや活用事例
- 生成AIの性能を広げる使い方
- 生成AIの利用を規制する要素
専門用語には「プロンプトエンジニアリング」「ChatGPT」などが挙げられます。何に活用できるのかを知ることが重要です。
リスクについて
リスク関連では、主に以下の内容が問われます。
- 誤情報の拡散
- セキュリティやプライバシーの懸念点
- 特定サービスへの依存や環境問題
- 入力データと出力に関する注意点
専門用語には「ハルシネーション」「プロンプトインジェクション」などが挙げられます。
一見難しそうに感じるかもしれませんが、これらはすべて基礎知識にあたります。
ビジネスで適切に活用するには、避けて通れない重要な知識です。ひとつずつ理解を深め、実践に活かせるようにしていきましょう。
Generative AI Testのサンプル問題はある?
Generative AI Testに関する過去問は見つかりませんでした。
しかし、公式サイトには、過去の出題内容を一部改修した例題が掲載されています。本番のシミュレーションに活用できるでしょう。
また「当時の選択肢別解答率」や「解答に対する解説」も記載されています。参考にするとより理解を深められるはずです。
Generative AI Testに挑戦する3つのメリット
ここからは、本試験に挑戦する3つのメリットを紹介します。
- 基礎知識を体系的に習得できる
- ビジネス利用する際の不安を払拭できる
- DX人材として採用や昇進で優遇される可能性が高まる
1.基礎知識を体系的に習得できる
まず挙げられるのは、基礎知識を体系的に習得できる点です。
本試験は「生成AIの知見を得ること」を目的としています。
仕組みやリスク、できることや活用事例などを問われるため、業務での活用に必要な知識が自然に身につくでしょう。
さらに、試験の合格者には、デジタル証明書になる「オープンバッジ」が発行されます。知識を有していることの証明になるため、勉強をするなら試験にも挑戦してみるのがおすすめです。
2.ビジネス利用する際の不安を払拭できる
次に挙げられるのは、ビジネスで利用する際の不安を払拭できる点です。
生成AIの活用を検討しているものの、漠然とした不安から導入に踏み切れない方は多いのではないでしょうか。
例えば、以下の通りです。
- 個人情報や社内データを入力しても大丈夫なのか……
- 生成されたコンテンツが著作権侵害にならないか……
- 自分の知らないリスクが潜んでいるのではないか……
本試験の出題範囲には、生成AIの技術的な欠点や法律問題、セキュリティ上の注意点などが含まれています。
また、現時点では認知されていない新たな危険要素や、その規制の可能性についても学ぶ必要があります。
したがって、学習を進めるうちに、安全に活用するためのリテラシーが自然に身につくでしょう。リテラシーを身につけることで、ビジネス現場でも自信を持って活用できるようになります。
なお、「生成AIの注意点」については、以下の記事で詳しく解説しています。実際に起こった事件や対策も紹介していますので、興味のある方は参考にしてみてください。
3.DX人材として採用や昇進で優遇される可能性が高まる
生成AIの活用リテラシーを身につけ、それを客観的に証明できれば、採用や昇進で優遇される可能性が高まります。
その理由は、国内企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する人材不足が深刻化しているからです。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表した「DX動向2024」によると、2023年時点での国内企業のDX人材確保状況は、以下の結果となりました。
- 大幅に不足している(62.1%)
- やや不足している(23.6%)
- 過不足はない(4.2%)
- やや過剰である(0.4%)
- わからない(9.7%)
上記の通り、国内企業ではDX人材が大幅に不足しているのが現状です。
なお、米国企業は2022年時点で「過不足はない」という回答が5割を超えており、日本との間で生成AIの活用に大きな格差が生じています。
AI技術は日々進化を続け、企業のDX推進においても欠かせない存在になりつつあります。
そのため、生成AIのリテラシーを有していると証明できれば、DX人材として幅広い企業から求められるでしょう。
Generative AI Testの受験をおすすめする人
ここまでの内容を踏まえると、以下のような方に受験をおすすめできます。
- 生成AIの利用を考えている人/すでに利用している人
- G検定の挑戦を考えている人
本試験では、生成AIの基礎から応用まで幅広く学べます。仕組みやリスクを理解することで、より自信を持ってビジネスに活用できるでしょう。
また、すでに生成AIを活用している方にとっても、新たな活用事例や注意点を学ぶきっかけになります。さらに、オープンバッジを取得することで、自身の知識を客観的に証明できるのも大きなメリットです。
G検定に挑戦する方も、まず本試験を学ぶことで基礎を固められ、自信につながるでしょう。試験の受験料は2,200円(税込)、出題数も20問と手軽に受けられるため、最初のステップに最適です。
Generative AI Testの勉強方法4選
主な学習方法としては、以下の4つが挙げられます。
- 書籍を購入する
- 公式の解説動画を活用する
- シラバス用語を理解する
- 生成AIの利用ガイドラインを読み込む
順番に解説します。
1.書籍を購入する
まずは、書籍で学習する方法があります。
公式サイトにて、過去の受験者が使用した参考書が公開されています。同じものを購入すれば効率よく学習を進められるでしょう。
具体的には、以下の書籍が推奨されています。
- 生成AI
- 大規模言語モデルは新たな知能か?
- AI白書2023
- ChatGPTエフェクト
- ChatGPTの法律
- 先読み!IT×ビジネス講座
画像生成AI - 先読み!IT×ビジネス講座
ChatGPT対話型AIが生み出す未来 - 面倒なことはChatGPTにやらせよう
ただし、AI技術は日々進化しているため、過去の情報が古くなっている場合もあります。基礎が変わることはありませんが、応用はなるべく最新のものから学ぶのがおすすめです。
なお以下の記事では、初心者・ビジネスパーソン・エンジニア向けにおすすめな本を紹介しています。興味のある方はこちらも参考にしてみてください。
2.公式の解説動画を活用する
公式サイトには、学習に役立つ解説動画も公開されています。
具体的には、以下の通りです。
▪️ 【5/12開催】「JDLA Generative AI Test」オンライン説明会(過去出題問題解説あり)
▪️ 生成AI業界のトップランナーが語る~ビジネスへのアドオンでおさえるべき知識と最新動向 (オンライン/参加無料)【10/22開催】JDLA緊急企画!
▪️ JDLA緊急企画!「生成AIの衝撃」~ ChatGPTで世界はどう変わるのか? ~[a]
こちらの解説動画も、場合によっては内容が古くなっている可能性があります。公式にもあくまで参考資料と記載されているため、他の学習方法と併用するのがおすすめです。
3.シラバス用語を理解する
本試験では、公式に掲載されているシラバスに基づいて問題が考えられています。そのため、掲載されている専門用語を理解すれば、ある程度内容が把握できるようになるでしょう。
なお、以下はG検定向けではありますが、AI関連の専門用語が図解付きで解説されています。シラバスを参照しながら用語理解に活用してみてください。
4.生成AIの利用ガイドラインを読み込む
適切な活用方法を学ぶ際には、JDLAが公開している「生成AIの利用ガイドライン」を参考にするのもおすすめです。
本ガイドラインは、生成AIの活用を考える組織がスムーズに導入をおこなえるように策定されたものです。
技術の発展や業界動向に応じて随時アップデートされているため、最新の知見を得るうえでも有益な資料となるでしょう。
Generative AI Testの勉強に要する時間はどれくらい?
公式サイトのアンケート結果によると、受験者の学習時間は「0〜15時間」が最多で、全体の8割を占めていました。
回答結果は、以下の通りです。
- 0〜15時間(81.7%)
- 15〜30時間(11%)
- 30〜50時間(4.6%)
- 50〜70時間(0%)
- 70〜100時間(0.9%)
- 100時間以上(0.9%)
この回答結果からも、難易度はそこまで高くないことが伺えるでしょう。勉強をする際は、試験への挑戦も視野に入れてみてください。
Generative AI Testの申し込み手順
Generative AI Testの申し込み手順は、以下の通りです。
- 公式サイトで受験者登録をする
- 受験規約を確認する
- ログイン後に「IBT申込」から申込をする
- 登録したEメールアドレスに届いたメールを確認する
- 支払い手続きをする
- 受験申し込み完了
参考:CBT-SOLUTIONS
受験者専用サイト「JDLA Generative AI Test」
なお、受験費用は支払いが完了すると、変更やキャンセルができません。支払い前に必ず日程やスケジュールなどを確認しましょう。
生成AIを学べるその他の試験
AI分野はますます需要拡大が見込まれており、資格を取得することでキャリアの幅を広げられる可能性が高まります。
そのため、生成AI関連の資格・試験を検討されている方は、以下への挑戦もおすすめです。
名称 |
内容 |
機械学習や深層学習の基本的な知識を得るための資格 |
|
AIを利用したコンテンツ作成の方法、個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否などの注意点を学べる資格 |
|
ディープラーニングの実装能力と知識の判別をするための資格 |
上記はいずれも、初心者向けとなっています。AI人材として飛躍を目指すのなら、ひとつずつ取得して知識を深めていきましょう。
なお、以下の記事では、AI関連のおすすめ資格をまとめています。初心者向けからエンジニア向けまで幅広く紹介していますので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
まとめ:Generative AI Testに挑戦して基礎理解を深めよう
国内ではDX人材が大幅に不足しており、生成AIに関する知見を持つ人材の需要は急速に拡大しています。
Generative AI Testは、AI人材になるための最初のステップとして最適です。「小テスト」という形式ですが、仕組みやリスクを体系的に学べます。
知見が深まることで、ビジネスに活用する自信もつくでしょう。「業務を効率化したい」「AI人材として市場価値を高めたい」という方は、ぜひこの機会に受験を検討してみてください。