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ホテルの口コミ分析方法|客室・接客の改善課題を見つける8手順

ホテルの口コミを客室と接客の改善課題へ分類する分析方法のアイキャッチ

ホテルの口コミ分析は、星の平均や低評価の件数を見るだけでは不十分です。口コミ本文を一文一論点に分け、客室・接客などのカテゴリ、好意的・否定的な評価、影響の大きさ、対応部署を付けて集計します。そのうえで、改善する項目、担当者、期限、確認指標まで決めると、宿泊客の声を現場の行動へ変えられます。

最初から高度なAI分析は必要ありません。単館ホテルや口コミ件数が限られる施設なら、ExcelやGoogleスプレッドシートでも始められます。大切なのは、同じ分類ルールと分母で定期的に比較し、客室と接客の課題を混ぜないことです。

本記事では、ホテル支配人・宿泊部門・客室部門・口コミ運用担当者に向けて、口コミの収集から改善後の検証までを8手順で解説します。

結論|口コミ分析は「分類・優先順位・担当決定」まで行う

ホテルの口コミ分析で作るべき最終成果物は、きれいなグラフではなく「次に何を改善するかが決まった一覧」です。最低限、次の3点まで作ります。

  1. どの課題が、どの宿泊体験で起きているかを分類する
  2. 頻度、影響、緊急性、実行可能性で優先順位を付ける
  3. 担当部署、期限、確認方法を改善バックログへ記録する

たとえば「部屋がよくなかった」という集計では、客室清掃、設備故障、空調、遮音、広さへの期待違いを区別できません。「スタッフの対応」も、挨拶、説明、待ち時間、要望への対応、部署間連携に分けなければ、研修をすべきか、シフトを変えるべきか、案内文を直すべきかを判断できません。

分析の順序は、原文を保存する、観察事実を分ける、共通テーマへ分類する、示唆を作る、行動を決める、です。英国政府のユーザー調査分析ガイドも、観察と解釈を分け、テーマ別に整理してから発見事項と行動を決める流れを示しています。

ホテルの口コミ分析で分かること

口コミ分析から読み取れるのは、総合評価の上下だけではありません。主に次の4つです。

  • 発生場所: 客室、フロント、清掃、朝食、館内設備、予約案内など
  • 体験の内容: 清潔さ、騒音、待ち時間、説明の分かりやすさ、要望対応など
  • 条件: 施設、客室タイプ、宿泊プラン、利用目的、時期、言語など
  • 改善方法: 設備修繕、清掃手順、要員配置、接客基準、事前案内など

総合星評価は全体の変化を知る入口ですが、改善担当を決めるには本文の分析が必要です。ホテル口コミを分析した研究でも、rooms、service、staffなどの属性が主要な関心領域として扱われています。より細かな分析では、属性と意見の組み合わせを特定する方法が用いられています。

ただし、口コミを書いた宿泊客は全宿泊客の代表とは限りません。口コミに現れない不満や、投稿媒体ごとの利用者の違いもあります。館内アンケート、フロントでの申し出、問い合わせ記録、PMSの運営データと照合し、「口コミだけで顧客全体を説明できる」とは考えないことが重要です。

ホテルの口コミを改善課題へ変える8手順

ホテルの口コミを目的設定から改善と検証まで進める8段階の分析フロー

1. 分析の目的・対象期間・媒体を決める

最初に「評価を上げる」のような抽象的な目標ではなく、判断したいことを決めます。

  • 客室清掃の再発課題を特定したい
  • チェックイン時の接客課題を見つけたい
  • 客室タイプ別に期待とのずれを把握したい
  • 複数施設で共通する問題と施設固有の問題を分けたい

目的が違えば、必要な分類項目も変わります。接客を改善したいのに、総合評価と投稿日しか集めていなければ、判断材料が不足します。

対象期間と媒体も先に固定します。季節要因を見るなら前年同時期、施策の前後を見るなら条件が近い期間を比較します。媒体ごとに評価尺度や投稿者層が異なる可能性があるため、異なる媒体の星をそのまま合算せず、媒体別の推移も残しましょう。

2. 規約に沿って口コミを取得し、不要な個人情報を持たない

口コミは、各媒体の管理画面、正規のエクスポート、許可されたAPI、契約中の管理ツールなどから取得します。画面を無断で大量取得する運用は前提にしません。Google APIs利用規約には、許可なくコンテンツをスクレイピングし、恒久的なコピーやデータベースを作ることへの制限があります。媒体ごとの最新条件を確認してください。

分析に投稿者の表示名や顔写真が不要なら、保存対象から外します。予約情報と口コミを結び付ける場合は、利用目的、閲覧権限、保存期間、削除方法を社内規程と法令に照らして確認します。公開されている情報でも、社内データベース化や第三者共有まで自由になるとは限りません。

最低限取得する候補は、投稿日、媒体、施設、総合評価、口コミ本文、言語です。正規機能で取得でき、分析目的に必要な場合だけ、客室タイプ、プラン、利用目的などを追加します。

3. 分析表を作り、原文・分類・判断を別列にする

表計算では、1行に情報を詰め込みすぎず、元データと分析者の判断を分けます。

記録内容 注意点
review_id 媒体内IDまたは社内管理番号 表示名をID代わりにしない
投稿日・媒体・施設 比較の基本情報 日付形式と施設名を統一する
原文 取得した口コミ本文 分析者が書き換えない
論点 一文一論点に分けた記述 1件から複数行になってよい
大分類・小分類 客室/騒音、接客/待ち時間など コード表から選ぶ
評価方向 好意的・中立・否定的・混合 星だけで決めない
影響・緊急性 滞在への影響、安全・衛生上の確認 判断基準を注記する
示唆 何が起きていそうか 事実と仮説を区別する
改善案・担当 次の行動と責任部署 期限・確認指標も持つ

原文と示唆を同じセルへ書くと、宿泊客が述べた事実と社内の推測が混ざります。「空調の音で眠れなかった」が原文なら、「室外機故障」はまだ仮説です。設備点検で原因を確認するまでは断定しません。

4. 口コミを「一文一論点」に分割する

1件の口コミには複数の体験が含まれます。たとえば「部屋は清潔だったが、空調音で眠れず、チェックアウト時の説明も分かりにくかった」という文は、少なくとも次の3論点に分けます。

  • 客室/清潔さ/好意的
  • 客室/空調・騒音/否定的
  • 接客/説明/否定的

口コミ1件を「客室」とだけ分類すると、良かった点と悪かった点が相殺されます。星評価が高くても改善要望が書かれていることがあり、低評価でもスタッフへの感謝が含まれることがあります。評価方向は論点ごとに付けましょう。

5. 客室・接客のコード表を作り、迷った例を残す

コード表とは、分類名と判断基準をまとめたルールです。最初は大分類を増やしすぎず、実際の口コミを読みながら小分類を調整します。

たとえば「部屋が狭い」は客室の広さですが、改装できない場合の改善策は、予約ページの写真・面積表記、荷物配置、家具構成の見直しかもしれません。「スタッフがいない」は接客態度ではなく、時間帯別の配置や呼び出し導線の問題かもしれません。同じ言葉でも、原因と担当は分けて考えます。

分類に迷った例は、コード表へ追加します。複数人で一部の口コミを別々に分類し、ずれた箇所を話し合うと、担当者による分類の偏りを見つけやすくなります。

6. 件数だけでなく、言及率・評価方向・推移を集計する

まずは次を大分類・小分類ごとに集計します。

  • 言及した口コミ数
  • 否定的な言及を含む口コミ数
  • 好意的・中立・否定的・混合の内訳
  • 対象期間内の推移
  • 施設、客室タイプ、プラン、利用目的、言語などの切り口

「言及数」と「口コミ数」は分けます。1件の口コミに同じ課題が3回書かれていても、影響を受けた口コミは1件です。課題の広がりを見る場合は「その課題に触れた口コミ数 ÷ 分析対象の口コミ数」のように分母を固定した言及率が比較しやすくなります。

ただし、母数が少ない区分の比率は大きく変動します。比率だけを見ず件数を併記し、媒体・期間・施設など比較条件をそろえます。自施設の推移を追う指標と、他施設比較の指標も混同しないでください。

7. 頻度・影響・緊急性・実行可能性で優先順位を付ける

頻出順だけで改善を決めると、重要だが件数の少ない安全・衛生上の問題を見落とします。各課題を次の4軸で確認します。

  1. 頻度: 同じ条件で繰り返し発生しているか
  2. 影響: 睡眠、清潔さ、安心、手続き完了など宿泊体験へどれほど影響するか
  3. 緊急性: 安全、衛生、プライバシー、設備故障など即時確認が必要か
  4. 実行可能性: 現場手順、案内、修繕、投資など、どの方法なら変えられるか

安全・衛生・プライバシーに関わる指摘は、件数が少なくても通常の順位付けから外し、事実確認とエスカレーションを優先します。それ以外は、頻度と影響がともに高い課題を優先し、実行しやすい改善と設備投資が必要な改善を分けます。

8. 改善バックログへ落とし、同じ条件で再測定する

優先課題が決まったら、会議資料で止めず改善バックログへ登録します。

項目 記載例(架空)
観察事実 特定階の空調音に触れた否定的口コミが複数あった
仮説 機器または設置状態に原因がある可能性
次の行動 対象客室の設備点検と夜間の音確認
担当 施設管理責任者
期限 次回分析会までに設定
完了条件 点検記録と必要な修繕の実施記録がある
確認指標 同条件の口コミにおける空調音の言及件数・率

改善後は、施策前後で対象媒体、期間、施設、分母をそろえて変化を確認します。口コミ件数が少ない場合は、館内アンケート、現場点検、問い合わせ記録なども使います。一度の改善で結論を出さず、再発の有無と別の問題が生じていないかを追います。

観光庁の2026年の宿泊施設向けIT活用事例集には、宿泊客との会話やアンケートで得た要望を集約・精査し、カテゴリ別に毎月点数化して低評価カテゴリを可視化し、改善内容をウェブサイトへ掲載した施設の例があります。口コミ分析でも、収集、カテゴリ化、可視化、経営判断、改善共有までを一つの運用として設計することが大切です。

客室と接客を分けて分析するカテゴリ例

客室と接客は原因も担当も異なるため、別のコードを持ちます。次は初期コード表の例です。自施設の設備、サービス範囲、宿泊プランに合わせて調整してください。

大分類 小分類例 確認する内容 改善の方向例
客室 清潔さ 浴室、寝具、床、臭い、残置物 清掃基準、検品、再清掃の記録
客室 騒音・睡眠 空調、廊下、隣室、屋外音 原因確認、設備修繕、客室配置、事前案内
客室 温度・空調 効き、調整方法、乾燥 点検、操作案内、備品
客室 設備・備品 故障、数、使い方、充電環境 修繕、補充、案内表示
客室 広さ・期待差 面積、写真との差、荷物動線 情報表示、家具配置、プラン説明
接客 挨拶・態度 声かけ、表情、言葉遣い 接客基準、OJT、振り返り
接客 待ち時間 チェックイン、精算、問い合わせ 要員配置、業務手順、事前入力
接客 説明 館内案内、料金、設備、朝食 説明順、案内文、多言語化
接客 要望対応 初動、代替案、引き継ぎ 権限、エスカレーション、記録
接客 部署間連携 伝達漏れ、回答の不一致 共有項目、責任者、連絡手段

客室の問題でも、接客対応が評価を左右することがあります。設備故障そのものと、申し出後の説明・代替案・引き継ぎは別論点として記録すると、施設管理とフロントの改善を分けられます。

口コミ分析で見る5つの指標

1. 総合評価と分布

平均だけでなく、評価の分布と件数を見ます。平均が同じでも、評価が中央へ集まる施設と、高低に分かれる施設では課題が異なる可能性があります。媒体の評価尺度が違う場合は、媒体別に確認します。

2. カテゴリ別の言及率

客室清掃、騒音、待ち時間などに触れた口コミの割合です。言及件数と対象口コミ数を併記し、分母を変えずに推移を追います。「多く書かれている」ことは、必ずしも不満を意味しないため、評価方向も組み合わせます。

3. カテゴリ別の否定的言及率

特定カテゴリへの言及のうち、否定的なものがどの程度あるかを見ます。星が高い口コミに含まれる改善要望も拾います。自動感情分析を使う場合は、否定表現、皮肉、複数論点、翻訳文の誤判定を人が点検します。

4. 条件別の差

施設、客室タイプ、宿泊プラン、利用目的、曜日、繁閑、言語などで差を見ます。個人を特定するほど細かく分けず、分析可能な母数がある区分だけを使います。差が見えても原因とは限らないため、現場記録や点検で確認します。

5. 改善後の再発率と新しい指摘

施策後に同じ課題が減ったか、別の課題が増えていないかを見ます。清掃時間の短縮で待ち時間は減ったが清潔さの指摘が増えた、というようなトレードオフも確認します。

優先順位を誤らない4象限

頻度と影響の2軸で課題を配置すると、会議で優先順位を説明しやすくなります。

影響が高い 影響が低い
頻度が高い 最優先で原因確認と改善計画 標準化・案内改善などの効率的な対策を検討
頻度が低い 個別事故か潜在リスクかを確認。安全・衛生は即時対応 記録して監視し、同様の指摘が増えるか確認

「対応しやすいから」という理由だけで影響の小さい課題ばかり選ぶと、宿泊体験の中心的な問題が残ります。一方、投資額が大きい設備課題は、応急対応、情報表示、客室割り当て、改修計画に分けると前進しやすくなります。

優先度を点数化する場合も、点数を業界標準のように扱わないでください。自施設の判断基準、例外、承認者を明文化し、同じルールで比較するための補助として使います。

口コミ分析でよくある失敗と修正方法

星評価の平均だけを追う

平均からは、客室清掃と接客待ち時間のどちらが問題か分かりません。本文を属性別に分類し、件数と評価方向を併記します。

低評価口コミだけを読む

高評価口コミにも「ただし、空調音は気になった」のような改善要望があります。星で除外せず全文を対象にし、論点単位で評価方向を付けます。

頻出語をそのまま課題にする

「スタッフ」という単語が多くても、感謝、説明不足、待ち時間では打ち手が違います。単語の前後と文脈を読み、属性と意見の組み合わせで分類します。

口コミ件数と論点数を混ぜる

1件に複数の論点があるため、論点数を分母にすると課題の広がりを誤解します。「何件の口コミで起きたか」と「何回言及されたか」を分けます。

AIの分類結果を無検証で採用する

AIは大量の文章を仮分類する補助になりますが、自施設固有の言葉、否定、皮肉、混合評価を誤ることがあります。コード表を渡し、抽出結果の一部を原文と照合し、誤分類が目立つカテゴリはルールやプロンプトを修正します。個人情報や契約上持ち出せないデータを、許可のない外部AIへ入力しないでください。

改善案に担当と検証方法がない

「接客を徹底する」だけでは、誰が何を変えるか判断できません。対象場面、行動、担当、期限、完了条件、次回の確認指標まで記録します。

Excel・AI・口コミ管理ツールの使い分け

方法 向いている状況 注意点
Excel・スプレッドシート 単館、対象媒体が少ない、分類ルールを作り始める段階 転記、表記ゆれ、更新漏れ、担当者依存が起きやすい
AIによる補助分析 口コミ本文が多く、仮分類・要約の作業を減らしたい 原文照合、分類精度、データ持ち出し条件の確認が必要
口コミ管理ツール 複数媒体・複数施設を継続管理し、返信やレポートも一元化したい 対応媒体、取得方法、分析粒度、権限、出力、サポートを確認する

最初に表計算でコード表と改善会議の流れを作ると、ツール選定時に必要な機能が明確になります。複数施設・複数媒体の比較や、分類・返信・承認が手作業で滞る場合は、Sooonのホテル向け口コミ管理ツールの選び方も参考にしてください。

分析するほど母数不足が目立つ場合は、満足した人だけを選ばず、規約に沿って宿泊客へ中立的に依頼する仕組みを整えます。詳しくはホテルの口コミを増やす7つの方法で解説しています。

ホテルの口コミ分析に関するよくある質問

口コミは何件あれば分析できますか?

全ホテル共通の固定件数はありません。少数でも安全・衛生上の指摘や具体的な設備故障は事実確認に使えます。ただし、比率や属性別比較は母数が少ないほど不安定です。件数を併記し、期間を広げる、館内アンケートと合わせるなどして判断してください。

口コミ分析は月次と四半期のどちらがよいですか?

口コミ件数と改善サイクルに合わせます。一定数が集まる施設は月次、件数が少ない施設は期間を広げても構いません。安全・衛生・設備故障の指摘は定例会を待たず確認します。定例分析と緊急対応を分けて設計しましょう。

星評価が高ければ本文分析は不要ですか?

不要ではありません。高評価口コミにも改善要望が含まれ、特定の客室タイプや時間帯に問題が偏ることがあります。強みとして維持すべき接客や設備を知るためにも、好意的な言及を分析します。

AIで感情分析すれば自動化できますか?

仮分類はできますが、最終判断まで完全に任せるのは避けます。ホテル固有の用語、否定、皮肉、複数論点、多言語翻訳で誤りが出る可能性があります。コード表と正解例を用意し、人が原文を抽出確認してください。

競合ホテルと比較してもよいですか?

公開情報の利用条件と取得方法を確認したうえで、カテゴリ傾向を参考にすることは考えられます。ただし、媒体、価格帯、立地、客室構成、顧客層が違えば単純比較はできません。まずは自施設の時系列変化と施策前後を優先してください。

まとめ|口コミを「宿泊客の声」で終わらせず改善責任までつなぐ

ホテルの口コミ分析は、収集して星平均を出す作業ではありません。原文を一文一論点に分け、客室・接客などの属性と評価方向を付け、頻度・影響・緊急性・実行可能性で優先順位を決めます。その結果を、担当、期限、完了条件、確認指標のある改善バックログへ落とすことが重要です。

単館なら表計算から始められます。複数媒体・複数施設で転記や分類、返信、承認が滞るようになったら、管理ツールを検討する段階です。ツールは意思決定を置き換えるものではなく、観光庁の宿泊施設向けハンドブックが示すように、データの集計・見える化を助け、現場が数字を基に判断するために使います。

ホテルの口コミ、Googleビジネスプロフィール、MEO運用をまとめて整理したい場合は、Sooon株式会社へお問い合わせ・ご相談ください。現状の媒体、施設数、運用体制を確認し、無理なく続けられる改善方法を一緒に検討します。

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