マーケティング人材不足をどう解決する?採用・育成・外注と「外部マーケ部」を比較
「マーケティングを進めたいが、任せられる人がいない」。この課題は、採用人数だけでは解決できません。まず必要なのは、自社に足りない機能を、戦略設計・施策実行・計測・改善・社内調整に分けることです。そのうえで、長期的に社内へ知見を残したいなら採用や育成、短期で専門性を補いたいなら外注、複数施策を一つの方針で動かしたいなら「外部マーケ部」を検討します。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、Webマーケティングの仕事は市場調査、広告出稿、アクセス解析、コンテンツ制作、SEO、改善提案、関係者調整など多岐にわたります。つまり「マーケターを1人採れば、すべて解決する」とは限りません。
本記事では、採用・社内育成・施策別外注・外部マーケ部を5つの軸で比較し、経営者・管理職が自社に合う方法を選ぶための判断基準を解説します。
結論|人を1人探す前に「必要なマーケ機能」を決める
マーケティング人材不足を解決する最初の一歩は、求人を出すことではなく、次の5機能のどこが欠けているかを確認することです。
- 事業目標から優先課題を決める戦略設計
- SEO、広告、SNS、Web制作などを動かす施策実行
- 問い合わせや売上につながる指標をそろえる計測
- 結果を見て予算と施策を変える改善
- 営業・制作・経営をつなぐ社内調整
不足が「広告運用だけ」なら、その領域の外注で足ります。一方、何を優先すべきか決まっていない、外注先が複数で判断が経営者に集中している、といった状態では、作業者を増やすだけでは問題が残ります。必要なのは、全体方針と各施策をつなぐ責任者機能です。
選択肢は一つに絞る必要もありません。たとえば、外部の専門チームで施策を立ち上げながら社内担当者を育て、判断基準やデータを社内へ移す方法もあります。短期の実行力と長期の内製化を分けて設計することが重要です。
マーケティング人材不足が起きる3つの理由
1. 一人に求められる業務が広い
Webマーケティングでは、顧客理解、企画、文章・デザイン・動画、広告配信、SEO、アクセス解析、改善、外部パートナー管理が連動します。job tagでも、情報収集、データ分析、コンテンツ制作・発注、品質管理、広告配信、SEO、効果検証など幅広いタスクが示されています。
このため「SNSができる人」「広告ができる人」を採用しても、事業目標から施策を選び、営業成果までつなぐ役割が空くことがあります。採用要件は、媒体名ではなく、任せたい意思決定と成果責任から定義しなければなりません。
2. デジタル領域の専門人材が不足している
IPAの「DX動向2025」では、DXに取り組む日本企業のうち、DX推進人材の量が「やや不足」「大幅に不足」とする割合は合計85.1%でした。これはマーケティング職だけを対象にした数字ではありませんが、データやデジタル施策を扱える専門人材の確保が、多くの企業に共通する課題だと分かります。
採用市場に人がいても、自社の事業理解、顧客理解、施策経験、社内調整力を同時に満たす候補は限られます。さらに、候補者の実力を見極める担当者が社内にいないと、採用基準そのものが曖昧になります。
3. 施策が増え、全体をつなぐ仕事が見えにくい
SEO会社、広告代理店、SNS運用会社、制作会社へ個別に依頼すると、各社は担当領域を進められます。しかし、誰に何を伝えるか、予算をどこへ配分するか、数字の定義をどうそろえるかは発注側に残ります。
この「統合する仕事」は請求書に表れにくい一方、経営者や兼任担当者の時間を大きく使います。人材不足なのに外注管理が増え、意思決定が遅くなるのは典型的な逆転現象です。
採用で解決する場合|知見は残りやすいが、職務設計と総コストが鍵
採用の強みは、事業や顧客への理解を蓄積しやすく、社内の意思決定へ深く関われることです。マーケティングを継続的な中核機能にしたい企業には有力な選択肢です。
ただし、求人票に「Webマーケティング全般」とだけ書くと、戦略家、運用者、制作ディレクター、分析担当のどれを求めるのか分かりません。最初に、今後12か月で任せたい成果、持たせる権限、社内の協力体制、外部へ残す業務を決めます。
人件費は提示年収だけで判断しないことも大切です。採用費、給与、会社負担の社会保険、賞与・手当、PCやツール、教育、管理者の時間まで含めて見積もります。job tagが掲載する令和7年賃金構造基本統計調査ベースの対応職業分類の年収は736.8万円、令和7年度ハローワーク求人統計の求人賃金は月27.3万円です。ただし、これらは母集団が異なり、Webマーケターだけの数字でも、企業の総雇用コストでもありません。自社の地域・役割・経験要件で採用市場を別途確認するための参考値として扱いましょう。
採用が向くのは、任せる役割が明確で、育成・評価できる上司がおり、数年単位で社内に機能を持つ意思がある会社です。反対に、優先施策さえ決まっていない段階では、先に外部支援で職務設計を固めた方が採用ミスマッチを減らせます。
社内育成で解決する場合|事業理解を生かせるが、実務機会が必要
既存社員の育成は、商品、顧客、社内事情をすでに理解している点が大きな利点です。営業、カスタマーサクセス、店舗運営など、顧客の声に近い人がマーケティングへ関わると、机上では得にくい示唆を生かせます。
一方、研修を受けるだけで実務を任せられるわけではありません。job tagでは、一通り仕事を覚え、助言を得ながら自分で回せるまでには個人差があるものの1年程度が必要と説明されています。JILPTの調査でも、回答企業の約半数はデジタル技術活用に向けた能力開発を行っておらず、約3分の2は関連するリスキリングに取り組んでいません。
育成を機能させるには、次の4点をセットにします。
- 学ぶ役割を絞る
- 実案件と検証予算を用意する
- 成果だけでなく仮説・実行・振り返りを評価する
- 社内で評価できない領域は外部の専門家にレビューしてもらう
経済産業省のデジタルスキル標準も、全員に必要なリテラシーと、専門人材の育成・採用に使うスキル標準を分けています。担当者一人に全領域を学ばせるのではなく、社内に残す判断と、外部に任せる専門作業を分ける方が現実的です。
施策別外注で解決する場合|専門性は得やすいが、統合責任が社内に残る
SEO、広告、SNS、Web制作など、課題が明確なときは施策別外注が有効です。必要な専門性を必要な期間だけ補いやすく、採用を待たずに着手できます。
ただし、外注先が増えるほど次の問題が起きやすくなります。
- SEOは検索順位、広告は獲得単価、SNSは反応数など、評価指標がばらばらになる
- ターゲットや訴求が媒体ごとにずれる
- 同じ素材を別々に作り、費用と確認工数が重複する
- 数字が悪いとき、媒体間で原因と責任が分かれる
- 定例会と承認が増え、経営者や兼任担当者が調整役になる
施策別外注が悪いのではありません。問題は、全体を設計して優先順位を変える人がいないまま、作業単位で発注することです。社内にマーケティング責任者がいるなら分散外注でも運営できます。責任者がいないなら、統合機能まで含む支援を選ぶ必要があります。
第3の選択肢「外部マーケ部」とは
外部マーケ部とは、広告運用やSNS投稿だけを切り出すのではなく、マーケティング部門に必要な戦略・実行・計測・改善・社内連携を、外部の窓口へまとめる考え方です。正社員のマーケティング部をすぐに作れない企業が、部門機能を外部チームで持つ選択肢と言えます。
Sooonの「販促費パッケージ」は、この外部マーケ部という位置づけで検討するサービスです。Sooonの公式Webマーケティング事業ページでは、特定の手段に囚われず、企業ごとの課題を整理し、最適な戦略・施策・体制でWebマーケティングを支援すると説明しています。SNS運用、MEO、企業PV、Webサイト制作など複数領域を扱うため、施策を個別発注する前段の全体設計から相談できます。
ここで大切なのは「何でも定額で頼める」と捉えないことです。実際の支援範囲、料金、契約期間、社内側に必要な担当、レポート・データの帰属、内製化支援の有無は契約前に確認してください。外部マーケ部の価値は、作業量ではなく、判断と実行が一つの方針でつながるかで評価します。
4方式を5つの軸で比較

| 方式 | 立ち上がり | 社内知識の蓄積 | 専門性 | 社内の統合負担 | 費用の性質 |
|---|---|---|---|---|---|
| 中途・新卒採用 | 採用と立ち上がりに時間 | 高い | 採用人材の経験に依存 | 役割設計・育成・評価が必要 | 継続的な固定費中心 |
| 社内育成 | 中長期 | 高い | 学習と実務経験に依存 | 上司・レビュー担当が必要 | 人件費と教育・機会費用 |
| 施策別外注 | 課題が明確なら早い | 契約設計次第 | 各領域の専門性を得やすい | 外注先が増えるほど高い | 施策・契約単位 |
| 外部マーケ部 | 合意形成後に始めやすい | 共有設計次第 | 複数領域を組み合わせやすい | 窓口統合で下げやすい | 支援範囲・契約による |
比較で見るべきなのは、月額や年収だけではありません。意思決定までの時間、経営者の管理工数、失敗から得た知見が社内に残るか、売上・問い合わせまで一貫して検証できるかを含めます。
外部マーケ部にも弱点はあります。事業情報の共有が遅い、意思決定者が定例に出ない、外部へ丸投げする、といった状態では十分に機能しません。社内には、情報提供と承認を担う責任者が必要です。
自社に合う方法の選び方
採用を優先しやすい会社
- マーケティングを長期の中核機能にする
- 任せる役割と評価指標が明確
- 育成できる上司や責任者がいる
- 採用・立ち上がり期間を許容できる
社内育成を優先しやすい会社
- 顧客理解の深い候補者が社内にいる
- 学習時間と実務機会を確保できる
- 外部レビューを含む育成体制を用意できる
- 短期成果だけで評価しない
施策別外注を優先しやすい会社
- 解決したい課題と依頼範囲が明確
- 社内に全体戦略と予算を統合する責任者がいる
- ベンダーごとの指標を事業成果へつなげられる
- 一時的または高度な専門性が必要
外部マーケ部を優先しやすい会社
- 専任の責任者をすぐ採用できない
- 何から着手すべきか整理できていない
- 複数の外注先管理が経営者へ集中している
- 戦略から制作・運用・改善までつなげたい
- 将来の採用や内製化に向けて判断基準を作りたい
迷う場合は、半年後ではなく「次の90日で何を決め、何を検証したいか」を基準にします。短期は外部、長期は採用・育成という併用も現実的です。
外部マーケ部を導入する前の確認項目
契約前に、次の項目を文章でそろえましょう。
- 事業目標と今回の優先課題
- 顧客、商材、営業プロセス、過去施策
- 戦略、実行、計測、改善の責任分担
- 追う指標とデータの取得方法
- 社内の意思決定者と回答期限
- 月ごとの対応範囲と追加費用の条件
- アカウント、制作物、データ、ノウハウの帰属
- 契約終了時の引き継ぎ方法
- 将来の採用・育成・内製化への支援範囲
「投稿本数」「広告の運用額」だけで比べると、全体設計や改善会議が抜け落ちます。何を作るかだけでなく、誰が優先順位を決め、施策間の矛盾を解消し、翌月の予算を変えるのかまで確認してください。
マーケティング人材不足に関するよくある質問
まず採用と外注のどちらから始めるべきですか?
役割と評価基準が明確で、採用を待てるなら採用が候補です。課題が未整理、または短期で施策を動かす必要があるなら、外部支援で戦略と職務要件を固めてから採用する方法があります。
外部マーケ部なら社内担当者は不要ですか?
不要にはなりません。顧客情報の共有、承認、営業部門との連携を担う責任者が必要です。ただし、媒体ごとの複数窓口を一つにまとめられれば、社内の調整負担を減らしやすくなります。
施策別外注と外部マーケ部は何が違いますか?
施策別外注は、広告運用やSEOなど特定業務の実行を任せる形です。外部マーケ部は、事業課題から施策の優先順位を決め、複数施策の実行・計測・改善を同じ方針でつなぐことを重視します。契約名称ではなく、誰が統合責任を持つかで見分けましょう。
将来は内製化できますか?
可能ですが、契約中から設計が必要です。アカウントを自社名義にする、指標定義と判断理由を共有する、マニュアルと会議記録を残す、社内担当者が実務へ参加する、といった条件を最初に決めます。
相談前に何を準備すればよいですか?
売上目標、主力商材、顧客像、営業の流れ、過去に実施した施策と結果、現在の外注先、使える予算、社内担当者を整理してください。すべて揃っていなくても、未確定項目を明示すれば課題整理から始められます。
まとめ|採用か外注かではなく、必要な機能をどう持つかで決める
マーケティング人材不足は、単に一人欠けている問題ではありません。戦略・実行・計測・改善・社内連携のどこが不足しているかを分解し、必要な時間と社内体制に合わせて手段を選びます。
採用は知見を蓄積しやすい一方、職務設計と育成・評価が必要です。社内育成は事業理解を生かせますが、学習時間だけでなく実務機会とレビュー体制が欠かせません。施策別外注は専門性を補いやすいものの、統合責任が社内に残ります。専任部門をすぐに作れず、複数施策を一つの方針で動かしたい企業には、外部マーケ部が第3の選択肢になります。
SooonのWebマーケティング支援・販促費パッケージについて、対応範囲や進め方を自社の課題に合わせて確認したい方は、Sooon株式会社へお問い合わせ・ご相談ください。現在の体制と施策を整理し、採用・育成・外注のどこを組み合わせるべきか検討できます。
参考資料
- 厚生労働省 職業情報提供サイト「Webマーケティング(ネット広告・販売促進)」(2026年9月7日確認)
- IPA「DX動向2025」プレス発表(2026年9月7日確認)
- 労働政策研究・研修機構「デジタル人材の能力開発・確保をめぐる企業の取り組みに関する調査」(2026年9月7日確認)
- 経済産業省「デジタルスキル標準」(2026年9月7日確認)
- Sooon株式会社「Webマーケティング事業」(2026年9月7日確認)








